常盤・割烹 みや古「深川めしセット」

グルメ

創業大正13年(1924年)、もうすぐ100周年の本家深川めし

割烹 みや古(常盤2-7-1)
深川めしセット(1760円)

開店時間ぴったりに暖簾が出されたので、すぐに入店。寒い日だったが、広々とした日本間には既に十分に暖房が効いていて、流石老舗だなーこれがおもてなしなんだなー、と思うなど。「よろしいお席にどうぞ」←この言い方も好き、と言われて窓際の席に座る。

深川界隈の飲食店を遠方から訪れる人の中には「深川めし」を求めてくる方が今でも多いのですが、元々「深川めし」は漁師たちの賄い飯。塩茹でしてた貝(主にアオヤギ=バカ貝、おそらくアサリも含まれていた)を飯に乗せて食べていたのが発祥となります(諸説あり)。

その後、味噌や醤油を使った貝汁を飯にかける「ぶっかけ飯」に進化。そして「割烹みや古」の二代目である谷口春義氏が、アサリを使った炊き込みご飯「深川めし」を作り上げ、三代目の信義氏が竹わっぱに入れる現在の形を完成させました。今でも「深川めし」として「貝汁ぶっかけ飯」を出している店があり、わっぱ飯イメージで注文した人が「なんだこれ!猫まんまじゃないか!」と驚くことも。ちなみにそれは約20年前に江東区に引っ越してきたばかりの昔の私の話です。

で、何故深川界隈では今でも「深川めし」アピールが強いのかというと、水の汚染と埋め立てを要因とする昭和37年の「漁業放棄」によって深川から漁師が消え、またたく間に「深川めし」を出す店がどんどん消えていったという背景があります。そして、消えていってしまうものを強く惜しむのは人の世の常。昭和60年前後に芭蕉記念館や深川江戸資料館を始めとする様々な深川の歴史を残す活動が至るところで始まった際、深川の「食文化」の代表として「深川めし」にスポットライトが当てられるようになったのです。もっとも既に深川ではアサリが獲れなくなっているので、アサリ自体は一部東京湾産も含む別場所産ですが。

今は「ぶっかけ」「炊き込み」「蒸篭蒸し」「丼」などのたくさんの「深川めし」バリエーションが様々なお店で楽しめます。私が最初に「深川めし」系メニューに出会ったのは、渋谷のお弁当屋さんの卵でとじた「深川丼」でした。オーダーするとその場で作ってくれる形式で熱々でめちゃくちゃ美味しかったので強烈に憶えています。

「深川めしセット」には小鉢2つと新香と吸い物が付いてきます。旬のものを使った割烹料理らしい2つの小鉢は嬉しいですね。「深川めし」は塩が控えめ、出汁の香りが立ち、めっちゃおいしい。アサリの他に小柱も使われていて複雑な旨味がとても楽しいです。

ご馳走様でした!

次は「名物小鍋仕立 柳川鍋」も食べたいし「生うに帆立味噌香焼」とか相当魅力的ですね!また来ます!