扇橋・310「おまかせ」

グルメ

310(扇橋2-4-4)
おまかせ(3800円)

先日、ランチタイムに「カレー」(1500円)をいただいたお店に、今度はディナータイムにお邪魔しました。

予約無しでふらっと入ったところ、先客2組4名様がいらっしゃいましたが、ドンピシャタイミングで一番最初から皆さんと同じメニューを順に食べることが出来ました。

でも、良い子のみなさんは予約がオススメですよ。

以下、記録です。提供された順です。

①「風呂吹き大根」
昆布出汁に塩だけで味付けした大根の旨味が最も味わえる形。310さんではあまり合わせ出汁は使わず、昆布だけで出汁を取ることが多いとのこと。合わせ出汁にしても最初に昆布で素地を作るし、素材によっては動物性(イノシン酸)の出汁が邪魔になることもあるので、個人的にも最もシンプルな出汁は昆布(グルタミン酸)だと思っています。

②「菊の花のピクルス」
この季節になると良く作るメニューとのこと。ピクルス液を使う料理はこの後もいくつか出てきましたが、ピクルス&彩りの良い料理大好き人間だったので大変嬉しかったです。食用菊は東北の生産量が多く、最も有名なのは山形県。有名なだけに価格も高いです。今日の素材は新潟県産ですが、歯ごたえも彩りも大変ハッピー。

③「春菊の柿ドレッシング」
サラダ用春菊は歯ごたえが柔らかいものの風味が弱いので、普通の春菊の先端部分だけを使っています。かかっているソースはピクルス液に漬けた柿に白芝麻醤を混ぜたドレッシング。柿はピクルス液に漬けると浸透が早いのですぐトロトロになってしまい、どうしたものか、と思案してドレッシングにすることを思いついたとのこと。しかし、柿の歯ごたえも残したくて、硬さを残した柿とトロトロ柿を併用しています。さらに上から北海道産チーズを削ってかけることで、コクと旨味を倍増。スゴイ。

④「鶏レバーの山椒煮」
このあたりで、お店にいらっしゃっていた関係者の方としていた仕事の話が混み入ってきたようで、すいません、少しの間これで凌いでください、と出されたのがこれ。お酒にも合い、美味しかったのですが、そうすると他の献立は殆どすべて作り置きせず、その場で調理しているのだな、と思い至り、ちょっと身体が震えました。もしかしたら、その場で思いついて、スグソコで生み出された料理も提供されているのかもしれません。調理中、「おー、これおいしい!」という独り言が厨房から聞こえたのはそういう理由かも。

少し脱線しますが、先程から使われているすばらしい器は、三恵陶器店(新宿区四谷3-6)で購入したものが多いとのこと。ユニークなものでも希望のセット数購入することが出来てサイコーとのことで、非常に興味深い。メモメモ。機会があれば行ってみます。

三恵陶器店

⑤「秋刀魚のニラ醤油」
旬の秋刀魚を軽く酢洗いして、生のニラの香りが強く出るように細かく刻んで醤油に漬けた「ニラ醤油」をかけたもの。生魚や生肉が苦手なお客様にはちゃんと火を通した秋刀魚を提供するなど、個人店ならではのワザも炸裂していて、見ていて非常に楽しい。お客さんが求めていることをその場で実現できるってすごいですよね。

⑥「搨菜のオイルがけ」
スパイスを揉み込んだ搨菜(ターサイ)に熱した油をジュワ~とかけたお料理。葉物は熱を入れると水分が出てしまう、煮ると旨味が逃げてしまう、ならば瞬間的に熱を入れることができるオイルがけかな!という理由らしいです。まだ発展途上の料理らしく、「みなさん、実験にお付き合いください」と仰ってました。こういうのはめっちゃおもしろいのでいくらでも付き合います。

⑦「椎茸の茶碗蒸し」
旨味の塊のお化けメニューです。昆布だけの出汁に、卵、椎茸、隠し味の海苔しか使っていません。めちゃウマ熱々。

⑧「鰤の胡麻味噌焼き」
ブリの旬は冬ですが、北海道産のブリは秋が旬。海水温の上昇に伴い、水温の高い暖流系のブリが北海道で漁獲されるようになったのは2000年頃から。2020年北海道水産現勢概報によれば、道内のブリの漁獲量は、過去最高の約1万5,500トンに及び、ブリ類の漁獲量の都道府県ランキングで北海道は全国1位、2位は長崎県、3位は千葉県という結果でした。今や北海道産ブリは大人気アイテムなのです。絶妙に火入れされたブリにかかっているのは胡麻を混ぜた田楽味噌。付け合せは上品な味の赤蕪。

⑨「南蛮風焼きピーマン」
クタクタにならず、歯ごたえを残すために出来る限りレアに近い火入れをしたピーマンを冷たいピクルス液に漬けたもの。

⑩「里芋の米粉衣」
酒などの調味料を入れたお湯で直煮した里芋に米粉をまぶし、軽く揚げた料理です。味噌も添えられていますが、そのままでも美味しい。サクッ、モチッ、とろ~り、という感じ。削り柚子が散らされているので香りも最高。

⑪「合鴨のロースト」
これも絶妙火入れの鴨のロースト。やはり生が苦手なお客様には、一旦目視確認をしてもらった後に追加火入れをしていました。いいですか、こんな芸当はチェーン店では出来ませんよ。シンプル塩味付けの肉おいしい(´ω`)

⑫「ニラ醤油卵かけご飯」
実は〆のご飯はチキンカレー。「あの…〆のご飯が、先日お出ししたチキンカレーとまったく一緒なんですが…」と恥ずかしそうに言われて、全然大丈夫ですよ、と返したのですが、しばらくして、「そう言えば、先程お出しした『⑤秋刀魚のニラ醤油』のニラ醤油を使って卵かけご飯が出来ます!どうですか!?」と言われて即決。いいですか、こんな芸当はチェーン店では出来ませんよ(ニ回目)。

⑬「南瓜のお味噌汁」
長時間かけてかぼちゃを煮込んだお味噌汁。一旦火を入れたかぼちゃを鍋に入れて、少しずつ水を足し、ちょうど小麦粉がダマにならないような感じで伸ばして伸ばして伸ばしまくったもの。それだけじゃなく、香りの印象づけに使われているんのはクミン。クミンを使うことでかぼちゃの旨味を活かし、余計な調味料を使わなくて済む超高度テクニックです。熱々味噌汁めっちゃおいしかったです。

お店のコンセプトは、あー今日は仕事疲れたなー、お酒も飲みたいなー、もうコンビニ弁当やだなー、チェーン店もいいけど、もうちょっとおいしいもの食べたいなー、家で洗い物面倒だなー、…実家に帰りたいなー…、というときに、ふらっと入れば希望が叶うお店、だと勝手に思っています。

気になったら、一回、行ってみましょう。そして、お店に行った方、感想を教えてくださいな。

よろしくどうぞ。

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